今回はおすすめ漫画『山賊ダイアリー』の魅力をわかりやすく解説したいと思います!
自給自足する猟師の生活に憧れませんか?
『山賊ダイアリー』の漫画の冒頭は、以下のように始まります。
「シカやウサギの糞は新しいものなら食べられます。食感は粘土みたいです。味は保証しかねますが、山で遭難したらぜひ思い出してみてください」
『山賊ダイアリー』1巻より
本作品は作者の狩猟の日常を描くエッセイ漫画です。
作者・岡本健太郎先生は漫画家兼猟師という異色の経歴を持ちます。
猟銃、罠、サバイバル術などが実践的に解説され、普通に生きていると知ることのできない世界について学ぶことができます。
また、イノシシなどの一般的なジビエだけでなく、ウサギやヘビやカラスなどのゲテモノ的な動物も狩猟し、区別なく料理して食するグルメ漫画でもあります。
このような狩猟生活のどれもが興味深く、惹き込まれる漫画『山賊ダイアリー』をご紹介します。
『山賊ダイアリー』ってどんな漫画なの?
結論からいうと、以下のような漫画です。
- 漫画家であり猟師でもある作者の日常を描くエッセイ漫画
- 狩猟という知らない世界について学べる漫画
- 様々な動物を狩猟し料理して食べるまでの工程を解説する漫画
- 読みやすくて気軽に読める漫画
- 完結済みの漫画(全7巻)
作品情報
『山賊ダイアリー』は『イブニング』(講談社)にて2011年6号から連載され、完結済みです(全7巻)。
何度もマンガ大賞にノミネートされおり、高い評価をされています。
作者は岡本健太郎先生です。
岡本健太郎先生は会社勤めを経験後に漫画家になり、猟銃所持許可・狩猟免許を取得して兼業猟師になったいう異色の経歴を持ちます。
別作品の『ソウナンですか?』では原作・原案として携わり、無人環境での実践的なサバイバル技術や罠などの狩猟技術を描写しています。
あらすじ
まずは作品のあらすじです。
なお内容について触れる関係上、若干のネタバレを含む可能性がありますが、ご理解の程をお願いします
作者・岡本健太郎は岡山県の超田舎に生まれました。
友達の家は遠くて遊べなかったので、近所に住む猟師のおじいちゃんと遊んでいました。
そのおじいちゃんから色んな狩猟の知識を学んで育った結果、おじいちゃんに憧れて猟師になることを夢見る少年に育ったようです。
『山賊ダイアリー』1巻より
そして時は流れて……
大人になった作者が猟銃所持許可・狩猟免許を取得し、新米狩人としての日常がスタートします。
『山賊ダイアリー』1巻より
『山賊ダイアリー』は自分で様々な獲物をとってその肉を食べる狩猟の日々を描く、実体験に基づいたエッセイ漫画なのです。
『山賊ダイアリー』のここが面白い!
どういうところが面白いのかをお話しします!
なお内容について触れる関係上、若干のネタバレを含む可能性がありますが、ご理解の程をお願いします
狩猟という知らない世界について学べる
『山賊ダイアリー』は実体験をベースに描かれたノンフィクション漫画です。
ただ狩猟して食べる話ばかりではなく、猟の方法まで詳しく説明してくれます。
そのどれもが知らないことばかりで、興味深くておもしろいです。
以下では猟銃の種類によって、狩猟時の動き方が違うことを解説しています。
狩猟で使われる銃には散弾銃と空気銃があり、猟での使い方の違いや銃の仕様の違いなどをわかりやすく教えてくれます。
作者は空気銃を使っているそうですが、空気銃を使う狩猟仲間は少なく「もっと仲間ほしー!!」と叫んでいます笑
『山賊ダイアリー』1巻より
銃で簡単に仕留められない大型の獲物には罠も併用します。
罠は自作なので、作り方や仕組みも以下のように解説されます。
宙吊りになる罠は狩猟法で禁止されているなんて初めて知りました。(動物が可愛そうだからですかね?)
罠にかかったシカやイノシシの絵が可愛いです笑
『山賊ダイアリー』1巻より
狩猟の方法以外にも、狩猟免許の取得方法などについても描かれています。
狩猟免許にはどのような種類がありどのように取得するのかまで、実際に作者が免許取得した時のエピソードによって語られます。
狩猟免許に興味がある人にとっては、とても参考になる体験記になっています。
『山賊ダイアリー』1巻より
以上のように『山賊ダイアリー』は狩猟の日常をユーモア混じりに描かれたエッセイ漫画であり、楽しく読みながら学べるようになっています。
食材を料理する工程も詳しく説明している
『山賊ダイアリー』で狩猟した動物は、どんな動物でもおいしく料理して食べます。
それはイノシシやシカなどの一般的なジビエだけではなく、キジやウサギやヘビ、カラスなどのいわゆるゲテモノ的な動物でも食べます。
私達一般人が普段食べないような動物が、おいしそうな料理に変わっていく様子は必見です。
以下にカラスを狩猟したシーンについてご紹介します。
カラスというと、ゴミを漁っていて黒くて不気味な害獣のイメージが強いのではないでしょうか。
そんなイメージのカラスですが、好奇心旺盛な作者はカラスを狩猟し食べてみようと試みます。
カラスも他の鳥と同じように、食べられるのです。
『山賊ダイアリー』1巻より
まず羽根や皮をむしります。カラスって中の羽毛や肌は白いんですね。
そのあと足と頭部を切り落とし、肛門から内蔵をかきだします。
『山賊ダイアリー』では生き物が料理になる工程をごまかさずに描いています。
解体するシーンをグロテスクに感じる人もいるかもしれませんが、私たちが普段食べているお肉は全て誰かがこのように解体してくれているのですね。
『山賊ダイアリー』1巻より
ここまできたら、だいぶ鶏肉っぽくなりました。
あとは分解してタレ焼きにしていきます。普通に家のコンロでカラスを焼いていて、とても生活感がある料理工程が描かれています。
『山賊ダイアリー』1巻より
カラスを串焼きにして食べるようです。
肉は少しくすんでいて、焼いたら黒い見た目になるなどビジュアルは少し不気味なようです…。
そしてビールを開けて、夕飯の出来上がりです。
『山賊ダイアリー』
恐る恐る実食してみたところ、おいしく作れたようです。
「ありがとう カラス!!」なんてセリフ、山賊ダイアリーでしか見れないと思います笑
『山賊ダイアリー』1巻より
カラスを食べるなんて気持ち悪く思われる方が多いかもしれません。
作者はそのような先入観はあまり持っておらず、とりあえず食べてみようというフラットな捉え方をするところが良いなあと思います。
どのように狩猟するかを試行錯誤し、そしてどのようにおいしく食べられるかも試行錯誤して料理していく様子がとても楽しそうで惹き込まれます。
食べるまでが狩りということなのかな、と考えさせられました!
人間は他の生き物の命を奪って生きていることを再認識させられる
当たり前のことですが、人間は他の生き物の命を奪って生きています。
大概はお肉の姿になってからスーパーなどで入手するので、食べている肉が生き物だったことを忘れがちかもしれません。
以下は初めて作者がイノシシを狩猟するシーンです。
普段鳥などを猟銃で撃ち殺しているのですが、イノシシなどの大物は罠も使って狩猟します。
罠ににかかったイノシシに対して、木の棒やナイフで直接とどめを刺すのにはさすがに葛藤があったようです。
『山賊ダイアリー』
罠にかかって暴れるイノシシを棒で殴って気絶させてから、ナイフで息の根を止めます。
そのときのイノシシの断末魔をきいて、作者は涙を浮かべています。
自らの手で殺す経験を重ねながら、猟師として一人前になっていくということでしょうか。
『山賊ダイアリー』
仕留めたイノシシは先輩猟師らと解体し、美味しくいただきました。
『山賊ダイアリー』ではこのように「人間は他の生き物の命を奪って生きている」という当たり前のことを再認識させてくれます。
上記で葛藤はありますが割とアッサリと描かれていて、説教臭くなくこのようなことを考えさせてくれるいい漫画だと思います。
様々な方法で動物を殺して食べるのですが、いろんなシーンで命への誠実さや礼儀が感じられます。
しかし、猟師業はなかなか一般の方からの理解を得られないようです。
特に女性からは理解を得られたことはない、と作者は語っています。
以下のように彼女に猟師を志すことを伝えたときには、軽蔑されてしまいました。
『山賊ダイアリー』1巻より
「牛と豚は別」と言う女性の言葉。どうしてこのような考えに至ってしまったのか……少し考えさせられました。
まとめ
『山賊ダイアリー』は狩猟という知らない世界を生きる人々の日常を描いた漫画です。
平坦で淡々と進むストーリーですが、惹き込まれる魅力がある漫画で読んでいるうちに猟師の自給自足生活に憧れがでてきます。
少し古い漫画ということもあり、最初の数巻は無料で読めるサイトも多いのでご確認いただければと思います。
『山賊ダイアリー』のオススメ&ご紹介は以上です!
他のおすすめ漫画
『山賊ダイアリー』にハマった方はきっと以下の漫画もハマると思います!
- ソウナンですか?
- 罠ガール
- Dr.STONE
- 銀の匙